2008年6月26日木曜日

遺伝子組み換え食品の表示制度の改正を求めて、オンライン署名を開始 グリーンピース・ジャパン

お店に並んでいる豆腐や納豆の表示を見ると、ほとんどの製品に「遺伝子組み換えでない」と書かれています。この表示を見てみなさんは「遺伝子組み換えではないから安心!」と思ってしまうのではないでしょうか? 

ところが、いまの表示制度では、原材料上位3位以下は表示義務なし、さらに全重量の5%以内であれば、組み換え作物が入っていても一定の混入として認められ、「組み換えでない」と表示してもよいことになっています。しょう油や植物油などは遺伝子組み換え原料が使われていてもタンパク質やDNAが加工過程で分解されるとして表示対象外なのです。

この曖昧な日本の表示制度にくらべ、EU(欧州連合)では原料が遺伝子組み換え由来のタンパク質やDNAが検出できるかどうかにかかわらず、すべての原料を表示義務対象としています。

安全性評価が不十分で、長期的な影響についての研究がおこなわれないままに私たちの食卓にあがってしまっている遺伝子組み換え食品を見分けるには、きちんとした表示制度の確立が急務です。

食料自給率がきわめて低く、輸入食糧にたよっている日本は、世界で最も遺伝子組み換え食品を食べていると言われています。こうしたなかで現在の表示制度は役にたちません。グリーンピースは、EUのように消費者が知って、選べる表示制度を目指し、食品表示の法改正を求める署名活動をしています。

賛同団体102団体と一緒に集めてきた署名はこれまでに16万筆以上にのぼります。
そして、さらに今回、簡単に署名ができるようオンライン署名を開始しました。まだ署名をしていない方はぜひ、下記のアドレスにアクセスし署名してください。第2次集約は2008年10月末です。

大切なご友人、子どもたち、そして家族。大切に思う人みんなに伝え、一緒に法改正を実現していきませんか?

★いますぐオンラインで署名!
https://www.greenpeace.or.jp/ssl/gm/petition/labelling/?tfn

★遺伝子組み換え食品表示の問題点
http://www.greenpeace.or.jp/campaign/gm/activity/shomei/?tfn

2008年6月23日月曜日

外来作物偏重が飢餓の根源 食料安全保障には在来食料が不可欠―ケニア研究者

ケニアのGathuru Mburu文化・エコロジー研究所(Institute
for Culture and Ecology
)所長が、ケニアで繰り返し起きる飢餓はトウモロコシやその他の”エキゾチック”な作物を偏重、ケニヤ土着の多様な食料作物を絶滅の危機に追い込んでいる農業開発がもたらした人災だ、在来食料の多様性をこそ食料安全保障と食料主権の指標とするべきであり、国の希望をトウモロコシ、遺伝子組み換え(GM)種子、化学肥料・農薬、アグロ燃料(農産物を原料とするバイオ燃料)にかけてはならないと、現在の、そして気候変動によりますます深刻化するであろう食料危機の克服には何が必要かを論じている。

 GM will enslave farmers and intensify hunger,The
East African
,6.2
 http://www.nationmedia.com/eastafrican/current/Opinion/oped020620086.htm

 価格高騰がもたらす世界的食料危機のなか、途上国農業開発援助の拡充がにわかに主張されるようになったが、外来種子や化学肥料・農薬の一層の利用など、農業開発の方向を誤ると、危機はさらに増幅するだけである。援助が多国籍アグリビジネスを利するだけで、途上国農民をさらに苦しめることにならないように、とりわけ”ローマ食糧サミット”に集まった指導者たちは、この主張に耳を傾けねばならない。ということで、以下に彼が論じるところを紹介する。


 ケニアで繰り返し起きる飢餓は、我々自身が作り出したものである。

 まず、国民として、我々はトウモロコシの安定確保を食料安全保障の同義語とするこを受け入れてきた。同時に、土着のものは後進的という我々の心性が作られたために、ケニアで利用できる在来の多様な食料作物が絶滅の脅威にさらされている。

 農民として、我々はトウモロコシやその他のエキゾチックな作物を植える土地を持つ。ヤム、アロールート(クズウコン)、甘藷、キャッサバ、カボチャ、ミレット、ソルガムや、その他の栄養豊な在来の野菜や果物を植える土地をほとんど持たない。これらの作物はずっと昔に小農場から姿を消し、トウモロコシの作季が終われば、すべての作季が終わりとなる。

 国として、我々は地方の生物多様性と、それを支える気候条件の多様性を利用するのに失敗した。我々は、エキゾチックで金になる作物の農業のために土地を切り開くから、土着の植物と動物が消滅するか、存続が脅かされるほどの数にまで減るのを許してきた。

 それに加え、我々はそれ以上の大問題―気候変動―に直面している。国が温暖化し、もはやシーズンが正確に予測できなくなっているのは明白だ。干ばつが予想されるときに雨になり、その逆もあり、小規模農民は混乱に投げ込まれる。農民は変化する天候パターンへの備えを欠いたままだ。

 さらに悪いことに、一部の在来食料は悪天候の際の救荒作物として知られているが、それも十分な量は植えられていない。トウモロコシにはこの能力はなく、水不足になればすぐに萎えてしまう。

 河川の水量は、驚くべき熱意をもって水源涵養森林を破壊し、土壌から大量の水を吸い取るユーカリを植えたために、やはり驚くべき速さで減っている。このような脅威の中でも、我々は気候変動の影響へのいかなる対応もしてこなかった。気候変動は、なお生物多様性や生計の損失と結び付けられていない。これを関連づけ、適切な行動を取らないかぎり、我々は飢餓に直面しつづけ、毎年食料を乞いつづけることになる。

 我々の土壌は、何十年も間、大量の化学肥料と農薬を与えれらた結果、死んでしまった。我々の農業は、相変わらず外部から購入される肥料や農薬などに依存しており、この購入のために、農民は農場から十分な報酬を得られない。種子を含む投入財は決まった価格で購入するが、生産物の価格設定には農民は関与できない。投入財需要を作りだすのは簡単だが、農産物需要を作りだすのは難しい。農民は需給法則に翻弄される。

 ケニアで大儲けしているのはアグリビジネスだけで、それが飢餓をさらに悪化させている。肥料、化学農薬は、我々の食料問題への答えではない。

 我々が依存するトウモロコシ種子は、多国籍企業がコントロールするハイブリッド種からGM種子に移りつつある。伝統的には、種子は地域社会の近隣同士で共有してきたものだ。種子管理と食料安全保障の共有は、共同体のすべてのメンバーが種子と食料を手に入れるために不可欠であった。しかし、これは遺伝子操作の科学によりゴミ箱に放り込まれてしまった。

 このような脅威に直面し、わが小規模農民は、家族と地方経済を救うために、土着の食料を再発見する責任がある。土着の種子に関する地方の知識は地方の長老のなかにある。ケニアの共同体と種子の多様性をもってすれば、毎年繰り返される飢餓から抜け出すことができる。在来食料の多様性を食料安全保障と食料主権の指標とすべきである。

 ケニアの農業研究予算は劇的に減らされてきた上に、公的研究機関は、バイオセーフティー法も不備なままにGM技術を偏重している。90年代以来、農業普及予算も劇的に減ってきた。農業生産性は低下、化学肥料と農薬の多用で土壌の劣化が進んだ。普及所があるところでも技術的アドバイスに集中しており、普及サービスは土着のものよりも外来のものの方が優れているというケニア人一般の観念を体現している。在来食料に関する研究は皆無に近く、普及員はこの知識を持たない。

 しかし、土着の知識の”科学化”こそ、内生的発展―わが農業を利益を貪る多国籍企業の手から解放するために今ケニアが必要としているもの―の基礎である。

 食料生産は今、アグロ燃料と呼ばれる他のアグリビジネスの脅威にも直面している。世界化石燃料資源の急速な枯渇化と気候変動を抑えるという欺瞞的前提が、ケニアをアグロ燃料生産に駆り立てている。外国投資家が参入、政府もこの機会を捉えるための委員会を立ち上げた。

 巨大な面積の処女地、とくにケニア東部乾燥地域の処女地が、アグロ燃料投資家のディーゼル燃料を浪費するブルドーザーの標的になっている。ケニアは先頭を切って、作物地を他国のアグロ燃料プランテーションに変え、農業生産を減らし、飢餓を深刻化させている。

 政策レベルでは、種子法が地域共同体の知識と種子所有権を差別扱いしている。ケニアは、繰り返される飢餓を自身で和らげるために、土着の種子を取り戻し、それに関する知識を共有することを助けられるように、この共同体現象を認知し、保護する法的手段を必要としている。

 国の希望をトウモロコシ、GM種子、化学肥料・農薬、アグロ燃料にかけてはならない。我々は、死んだ土壌を生き返らせ、地方の種子を利用するために、地方で利用できるものに切り替えねばならない。気候変動に対抗する地方の力の創出には土着の知識が不可欠であるこを認めねばならない。

 研究も普及活動も、”エキゾチックは進歩的、土着は後進的”という固定観念から抜け出さねばならない。

 「政治的独立から45年経った今、我々は心を脱植民地化せねばならない・・・。食料問題で責任を取るのに失敗すれば、自ら再植民地化することになる。飢餓のなかに自由はない―我々は、我々を養う者に合わせて踊ることになる」

関連情報
農業・開発専門家 アフリカ農民への種子援助の再考を要請,08.5.15
アフリカ肥料サミット 肥料不足解消を要請 化学肥料依存の土壌回復策に批判の声も,06.5.14
アフリカの農地土壌が急速に劣化 作物収量維持のために肥料コスト削減が急務,06.4.1
キューバ農民 農業生態系重視 伝統農法の回復で食料生産に大変革,08.5.१५



【講演会】スーザン・ジョージ来日講演会!6月30日

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■     スーザン・ジョージさん 講演会  
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■    「グローバル化と社会・金融危機」
■ ~私たちはどんな世界に向かっているのか?~
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7月には北海道・洞爺湖でG8サミットが開催されます。
私たちの世界はどんな方向に向かっていくのでしょうか?
地球規模の環境破壊、格差の拡大、食糧危機などの
課題を抱えながら、私たちはどんな世界に住みたいのか、
共に考えたいと思います。
■講師:スーザン・ジョージ
Speaker: Susan George
(著作『なぜ世界の半分が飢えるのか』(朝日新聞社)
『徹底討論グローバリゼーション賛成/反対』(作品社)など多数。
グローバル化を問い直す市民活動の世界的リーダー)
http://www.jca.apc.org/alt-g8/ja/node/268
■概要
日時:2008年 6月30日(月)
Date: June 30th. Mon, pm 18:30-20:30
時間:18:00受付開始、18:30開演(20:30終了予定)
会 場:明治学院大学白金校舎 本館10階大会議場
    →キャンパスマップ http://www.meijigakuin.ac.jp/access/shirokane/
     (最寄駅は、JR品川駅・目黒駅よりバスで約10分、東京メトロ白金高輪
      駅、白金台駅、高輪台駅より各徒歩約10分)
Venue: Conference Hall, 10th Floor, Main building Meijigakuin University
Shirokane Campus
参加費:無料(要申込み)
Participation Fee: Free of charge (prior reservation required)
言語:英語/日本語 (逐次通訳あり)
Language:, English/Japanese (with interpretation into/from these
languages)
■お申し込み Reservation/Inquiry
件名を「6月30日スーザン・ジョージ申込み」とし、お名前、
ご所属(または 学籍番号)、ご連絡先をご記入のうえ、
下記までメールまたはFAXにて申し込みください。
Please send e-mail/fax with your name, affiliation, contact number/e-id for
your reservation.
お申込みが受理された方には、こちらから特に連絡を致しませんので、
当日直接会場までお越し下さい。
■主催 Contact
明治学院大学国際平和研究所(PRIME)
International Peace Research Institute,
Meiji Gakuin University (PRIME)
〒108‐8636 東京都港区白金台1-2-37
Tel:03(5421)5652/Fax:03(5421)5653
E-mail: prime@prime.meijigakuin.ac.jp
URL:http://www.meijigakuin.ac.jp/~prime/
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Prime Staff: Namiko Watanabe渡辺奈美子


有機農業をさまざまな視点から考える若者のネットワーク作りのための ラウンドテーブル開催

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つくるひと、売る人、食べる人、広める人…未来を生きる人
食を未来へつなぐための第一歩。
有機農業をさまざまな視点から考える若者のネットワーク作りのための
ラウンドテーブル開催のお知らせ
6月29日(日) サンケイプラザ 4F
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食料危機が世界中を襲う今、持続可能な「食」「農」のありかたが問われ始めています。
有機農業は水・森・土といった自然の循環のなかで、多様ないのちを育み、環境を再生し、健康で安全な食を保障して、食べ物の作り手と受け手が信頼でつながり支え合う世界です。
つくるひと、売る人、食べる人、広める人、それぞれの立場の若者が環境、教育、経済…さまざまな視点から有機農業、暮らしを語ります。
当日は、有機農業に関する取り組みを実践されている方々をスピーカーとしてお呼びします。スピーカーからトピックスを提供していただきつつ、会場全体で議論を深めたいと思います。
一般のかた(ラウンドテーブルスピーカー以外のかた)、若者じゃないかも?
と思ってらっしゃるかたのご参加・ご発言も大歓迎です!
皆さんのご来場をお待ちしています。
【概要】
■日にち:6月29日(日)
ラウンドテーブル 15:30〜17:30
(分科会みんなで語ろう 有機農業第㈼世紀 「有機農業を広げよう!」)
■場所:サンケイプラザ4階ホール
http://www.s-plaza.com/map/index.html
(大手町駅 地下鉄丸ノ内線・半蔵門線・千代田線・東西線・都営三田線
A4・E1出口直結
JR東京駅 丸の内北口より徒歩7分)
■資料代:500円
なお、ラウンドテーブルの前にシンポジウム(12:50〜15:10)も開催されます。
通してのご参加をオススメします。
※車での来場はお控えください。
※周辺には日曜日に営業している飲食店等がありませんのでご注意ください。
【お問い合わせ・申し込み】
以下の申し込みフォームにご記入の上、
有機農業普及啓発事業事務局 (NPO法人全国有機農業推進協議会内)
担当/鈴木・田熊
TEL&FAX/03-3946-1237
Eメール/eyuki01@mac.comのいずれかにご連絡ください。
参加申し込みフォーム_______________
名前(フリガナ):
所属:
電話番号:
メールアドレス:
関心分野:
___________________________
個人情報の取り扱い:※ご提供いただいた個人情報は、本イベントならびに関連イベントの案内・手配・連絡等に使用します。
それ以外の無断転用はいたしません。
【スピーカー】
 有機農業生産者
 研究者
 新規就農者
 政府関係者(農林水産省職員)
 農協職員
 有機JAS認証機関職員
 学生
 NGO・NPO
 エコロジーショップスタッフ
 エコメディア関係者
全体主催:NPO法人全国有機農業推進協議会(全有協)
ラウンドテーブル企画:全有協ユース
*NPO法人全国有機農業推進協議会とは
2006年8月有機農業生産者、その他関係者によって設立されました。2008年3月NPO法人化、日本の有機農業を推進していくために、交流と相互理解を深め信頼関係を醸成し、積極的な提案を行いながら、ネットワーク作りに取り組んでいます。代表/金子美登
有機農業普及啓発事業事務局(NPO法人全国有機農業推進協議会内)では、今年度「有機農業って何?」という問いに答えるさまざまな取り組みをおこなっていきます。
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以下は会全体のご案内↓以下の会の分科会2 仲間づくりが上記の「若者のネットワーク作りのための ラウンドテーブル」
にあたります。
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有機農業宣言 東京集会
食・農・環境の未来を「ゆうきの一歩」から
6月29日(日)12:50~17:30 サンケイプラザ 4Fホール
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2006年12月に、有機農業を国・地方公共団体が民間と連携・協力して推進することを定めた画期的な法律「有機農業推進法」が新たに制定されました。
これに伴い、全国各地で有機農業推進の動きが始まったところです。
これまでの歩みを有機農業の第Ⅰ世紀とすると、これからはじまる一歩は、有機農業第Ⅱ世紀への歩みだと言えるのではないでしょうか。
有機農業は、「農業」の一分野にとどまらない営みです。
それは水・森・土といった自然の循環のなかで、多様ないのちを育み、環境を再生し、健康で安全な食を保障して、食べ物の作り手と受け手が信頼でつながり支え合う世界です。
有機農業が広がっていくことで生まれる食・農・環境の明るい未来に向けて、あなたとわたしの「ゆうきの一歩」を一緒に踏み出しましょう!
■プログラム
11:00 開場 展示「各地に広がる有機農業の世界」
     各地の有機農業への取り組みを展示でご覧いただきます。有機農業関
    連の書籍も販売。
   プロローグ 映画「土の世界から」上映 (12:00ー12:30)
      ※有機食材を使ったお弁当を販売します。
12:50 集会開始~ご挨拶
13:25 「ゆうきの一歩」の今後の取り組み
有機農業推進基本方針に基づいて決まった有機農業総合支援対策事業を担う団体が今後どのような取り組みを展開していくのか、ご説明します。
●普及啓発事業●参入促進事業●地域有機農業推進事業(モデルタウン)
●地域農業施設整備事業
13:40~15:10 シンポジウム 「有機農業の明日を語る」
      有機農業に関わる行政・技術者・生産者がそれぞれの立場から、
      有機農業の未来像を語ります。
パネリスト:
   金子美登さん(NPO法人全国有機農業推進協議会代表)
   福田英明さん(農林水産省環境保全型農業対策室長)
   西村和雄さん(NPO法人有機農業技術会議代表)
   田下三枝子さん(有機農業生産者 埼玉県小川町)
   井村辰二郎さん(有機農業生産者 金沢大地代表)
ゲストコメンテーター:中地高子さん(モデル・ダーチャサポーター)
コーディネーター:中島紀一さん
(茨城大学農学部長・日本有機農業学会会長・全国有機農業推進委員会会長)
15:30~17:30 みんなで語ろう 有機農業第Ⅱ世紀 「有機農業を広げよう!」
●分科会1 有機農業への参入促進 「私も有機農業で生きたい!」 301号室
●分科会2 仲間づくり 「若者の有機ネットワークを作ろう!」 302号室メンバー参加!
●分科会3 学校給食 「給食を有機農産物で!」 303号室
●分科会4 流通・加工 「もっと有機農産物を食べられるように!」 304号室
主催/NPO法人全国有機農業推進協議会 共催/NPO法人有機農業技術会議
後援/農林水産省(申請中) 協力/農を変えたい!全国運動
*NPO法人全国有機農業推進協議会とは
2006年8月有機農業生産者、その他関係者によって設立されました。2008年3月NPO法人化、日本の有機農業を推進していくために、交流と相互理解を深め信頼関係を醸成し、積極的な提案を行いながら、ネットワーク作りに取り組んでいます。代表/金子美登
有機農業普及啓発事業事務局(NPO法人全国有機農業推進協議会内)では、今年度「有機農業って何?」という問いに答えるさまざまな取り組みをおこなっていきます。

2008年6月20日金曜日

フィリピン農民もトラクタから水牛へ 石油離れで持続可能な食料生産システムに

農業情報研究所(WAPIC)より転載
08.6.20

 先般、燃料価格高騰でタイ農村に水牛耕が復活しつつあると伝えたが(タイ 燃料価格高騰で水牛耕が復活)、フィリピンでもトラクタからカラバオ(水牛の亜種)に戻る動きが広がっている。統合地域情報ネットワーク(IRIN)が伝えるところによると、これは原油価格高騰がもたらしたやむをえない伝統回帰である。作業の能率は落ち、カラバオも決して安くはなく、場所によっては見つけ出すのも難しい。

 それでもトラクタを使うよりはずっと安上がり、浮いた金を肥料や農薬に回すことで収量も増える、サトウキビ農園のような大規模農場はともかく、小農民には適し、しかも持続可能なやり方だという。

 PHILIPPINES: Farmers go low-tech as fuel prices
soar,IRIN,6.19
http://www.irinnews.org/Report.aspx?ReportId=78810
 

 南部ルソン・ラグナ州で19歳の息子と一緒に米を作る60歳のサン・アントニオは、3㌶の田んぼを耕すためにトラクタを借りると、一期に5万ペソ(1136米ドル)かかるが、カラバオに頼れば3万ペソで済むと計算した。こうして6月7日、彼らは近くの町で9歳のカラバオを購入した。二期作ではこれを使って耕す。
 サン・アントニオと同様、全国の多くの農民が、燃料価格の高騰でカラバオに戻ることを余儀なくされている。フィリピン・カラバオ・センター(PCC)のクルス常務は、「ひとつのトレンドがあり、これは原油価格の高騰と非常に強く関連している」と言う。
 フィリピンの米倉である中部ルソンでも同様な動きが広がっている。ただ、ラグナに比べての問題は、カラバオを見つけ出すのがもっと難しいことだ。中部ルソンの農民の90%はトラクタに依存、何年も前にカラバオを売ってしまった。簡単にはいかないが、もしカラバオが使えれば、昔に戻ろうとしているという。
 アントニオの今年第一期作の収穫は、借りたトラクタを動かすために大金を取られ、十分な肥料と殺虫剤を使えなかったために散々だった。いつもは300袋を収穫するのに、100袋しか穫れなかった。彼の息子は、第二期作ではそういう問題はないと確信している。ディーゼルに払った金を肥料と農薬に使うことができるからだ。
 クルス常務の話では、カラバオでは耕す時間が余計にかかるが、生産性が落ちるわけではない。「わが国農民が耕す土地の面積は小さい。カラバオを使うのに非常に向いている。サトウキビ農園のように大規模なら話は別だが」。「小農場では、肥料や農薬に比べて、スピードは重要でない。生産性は投入・産出比だ」。トラクタの使用、従って非再生可能エネルギーの贅沢な使用をやめるのは”持続可能”でもある。持続可能な食料生産システムを持たねばならない。
 とはいえ、カラバオは高価で、場所によって違うが2万5000ペソから4万ペソもする。サン・アントニオは2万5000ペソで買ったが、これも決して安くはない。しかし、カラバオは5年、10作は使える。トラクタと違い、カラバオを養う必要もない。沼地に放っておくことができる。息子は、11月の収穫でカラバオ購入費は全部払えると信じているという。