2013年3月16日土曜日

「さわのはな」生産者の高橋保広さんのご紹介

【転載】ジュマ・ネット
都市の若い世代の消費者から強い支持を受ける在来の米「さわのはな」。私たちの食・安全、そして未来について、生産者と消費者がつながり、一緒に考えよう


文章:高橋保広

 私は山形県は新庄市で百姓をしております、高橋保広といいます。ジュマ・ネットの皆さん方には農薬・化学肥料など使用しない自然農法栽培の米「さわのはな」をお届けさせてもらいお世話になっております。
 昭和21年生まれです。中学校を卒業後、家業である農業に従事、親爺のもとで百姓一筋です。還暦を過ぎてますが、想いと行動は30代のつもりです。家族全員で百姓をやる専業農家です。親爺の代から主に有機資材による栽培方法で主な生産物は米、大豆、一般野菜です。農協や商業者にあまり頼ることなく、全量生産物は地元や都市への個人直接販売をしております。

 新庄市は人口約4万人、四方を山に囲まれた盆地です。西に出羽冨士といわれます鳥海山、南に月山、羽黒山、葉山、北東に我々の命の源、神室山系の山並みです。盆地と言っても人口比率当たりは、北海道よりも一人当たりの面積は大きいのです。そんなところで百姓を営んでおります。
 我が家では、自分がもの心ついた以前から、地場産直(直接販売)をしておりました。家族全員で夜なべ仕事で品揃えをした野菜と朝取りをした野菜を祖母が引き売りするリヤカーに積み、幼かった自分の子守りも一緒だったのでしょう、自分も乗っけられ一緒に家々を回り、皆さん方にかわいがられた幼い頃の思い出があります。祖母が体が弱り、その頃には自分がリヤカーを引っ張り、販売する近くまで送り届ける役目でした。

 その当時の小中学校は家の手伝いで学校に少々の遅刻をしても何も言われませんでした。農繁期(田植えや稲刈期)には、農家は田植え休み、稲刈り休みがありました。農産物を通して人と直につながることで、より人に喜んでもらえる安心安全な農産物の生産と百姓として人としての本来の役割を祖母から教え伝えてもらえたことに深く感謝しております。今でもお互いを支えあって出来てくる、生まれてくる当時のあの環境を常に目標とし行動する時の自分の歩みの元になっております。

 私たちは14年目になりますが、平成7年にネットワーク農縁を立ち上げました。産直で多くの皆さん方と深く知り合うことにより、自分の中にある意識の高揚を自分だけのものにするには余りにももったいない、そんな思いで都市の仲間と話し相談をして会が出来たのです。
初めは時代とともに自閉していく農村の活性化だったのですが、今では仲間も増えて都市との交流も田の草取り、大豆畑の草取り等々で大変ですが楽しい会です。

 その中の大豆畑トラストは平成9年に立ち上げ一気に全国に広がり平成11年に新庄で発祥の地として第1回目の全国交流会が開催されました。2月の猛吹雪で電車が止まるような中、車、バスを乗り継ぎ全国から駆け付けてくれた皆さんとの開催でした。あれから11年、今年2月に開催地の東京であの吹雪をもう1回体験したいとの希望で12回目の開催は新庄に決まったのです。来年の2月20日になります。
 大豆畑トラストはあまりにも低すぎる米と並ぶ国の根幹作物である大豆が国外依存度95%輸入され、その内の80%が遺伝子組み換えされた大豆といわれる ①国産大豆の自給率の向上、②組み替え大豆を日本に入れない、③GMO作物を作らない、売らない、食べない、フリーゾーン運動など反GMO運動を高める、ための大豆畑トラストの立ち上げでした。
※GMO...genetically modified organism(遺伝子組み換え技術を用いた遺伝的性質の改変によって品種改良等が行われた生物)

 水田トラストは平成12年、各地区にある在来種を再確認してもらいたいとの想いで立ち上げました。「さわのはな」は、山形が生んだ美味しい米「亀の尾」の系譜をひく、伝説の米です。1960年に元農水省東北農業試験場(山形県尾花沢、現在はなくなりました)で、品種改良され、山形県の奨励品種にもなりました。

 自分は、親爺の代から引き続き、栽培していますからわかるのですが、他の品種と違う大きな特徴は根の強さです。根腐れに強く、土の中のミネラル分をいっぱい吸収することで耐冷性、耐病性に優れてくるのです。化学肥料や農薬で育つ慣行の稲よりは、収穫量が少なめですが自然農法をやっている自分には素晴らしきパートナーです。

 環境にも人間の体にもやさしく、安全性を選ぶなら、自ら育つ力強さを持つ、ミネラル分いっぱいの「さわのはな」です。自分の産道の活用者の中には、過敏症の方が多く、口伝いに広がっています。現在、農協や政府にお米を買ってもらうには、等級検査を受けなければなりません。1等、2等、3等、等外と等級によって価格が安くなってくるのです。

「さわのはな」は、1等級になれない特徴があるのです。他の品種より、玄米は浅黒く、花白(米粒の中のにごり)になりやすく、お店で売る時の見た目の悪さから等級は上がらず、お金にならない米として、今では栽培する農家はいないのです。自分は「さわのはな」の特性を知ってもらう為に行動し、理解をもらっていますが、本来はその地にあった在来種の再評価をしてもらいたいのです。

 今は、流通業者を通し、誰が食するかわからない状況の中で、安全よりも見映え重視の多くの品物が求められ、化学肥料農薬を多く吸収した生命力のない農産物がお店に並んでおります。
 本来ならば、生産する農家(もう慢性化しているのかな)自体、食べたくないものなんだけどな。一緒に考えようよ、一緒に行動しようよ、そんな思いで水田トラストもしているのですよ。
 こんな風に自分達のことを文字で表すこと自体、すごく気恥ずかしく、多いに照れているのですが・・・それでも現にやって来たことだからなぁ。ネットワーク農縁を知りたい方は、インターネットで見てやって下さい。水質検査、バイオマス、水田トラスト、大豆畑トラストなど、紹介されています。素晴らしき仲間達です。


【参考リンク】
ネットワーク農縁...http://www004.upp.so-net.ne.jp/net-nouen/
新庄大豆畑トラスト...http://www.h6.dion.ne.jp/~trust/
新庄水田トラスト...http://www.nurs.or.jp/~suiden/

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